ギネスビール&カシスソーダ/ふくだわらまんじゅうろう
ギネスビールと
カシスソーダしか飲めない
女の子がいた
世界が終わる二年前から
三年間
その女の子と一緒に
暮らした
ぼくには未来がなかったし
彼女には過去がなかった
サンシャイン
夏の光が
ぼくを打つ
ぼくはビールを
浴びるほど飲んだ
下北沢の焼肉屋
246沿いのカラオケ屋
ほんの待ち合わせの喫茶店
マチネー後のキリン・シティ
だけど彼女はギネスビールか
カシスソーダしか飲まなかった
それも一口
二口、飲んで
あとは話したり笑ったり
その笑顔の
無茶苦茶な乱杭歯の
無邪気が余計に
ぼくのこころを焼いた
そうしてとうとう
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