自転車で/
ふくだわらまんじゅうろう
自転車で
学校へ行く
いつもと違う道を
いつもと違う速度で
木漏れ日のなか
自転車で
ぼくは君を好きだったし
君もぼくを好きだった
だけど君は何も言わなかったし
ぼくも何も言わなかった
二人で眺めた
真夏の夜の
横浜の海の埠頭の先の
うねる海
銀色の
翻った大きな魚の腹
ぼくは怯えた
このままぼくらは
どんな奈落へと落ちてゆくのだろうか
自転車で
学校へ行く
いつもと同じ道を
いつもと同じ速度で
灰色の夏
遠い記憶
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