睡眠病/梨玖
 



唐突に重い身体を感じて夢から覚めたと思い知る



薄い霧のかかった感覚を占める温かさ
髪や腕を撫でるもの
きれいなあなたのゆび



反射的に目を開いたけれど
覚悟していたような眩しさは無かった
気付いた時は全てはもう終わっているような錯覚が
厭でも腹立たしくて




其の手に触れても
私は意識を放してしまう
其の手を掴んでも
私は目を閉じてしまう



何時の間にか忍び寄った強制の睡眠に 
そっと咽の奥で嗤う



痛いほどの温もりだけが
腕を支配する
綺麗な眉を寄せた
貴方の表情
私は目を背けるしかない




わたしはねむっているあいだ
あなたになにをみせていたんだろう



そうしてまた襲いかかる睡魔に
勝てない私は貴方の手を繋ぎ止めるのに

眠っている間に見る私の夢には
何時も貴方はいないのに

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