『アルマジロの歌』/なごまる
 
『アルマジロの歌』


ケダモノでいるのがヤになって


鎧を脱ぎ捨てたアルマジロ


その背に無数の矢を突き立てて


ヤツはのそのそと歩く


痛みは戻った


涙も流れた


その姿はまるで


針毛を逆立てたハリネズミ


誰も気づかない


誰も嘆かない


知らないうちに遊びの時間も終わってた


その背に無数の矢を受けて


ヤツはのそのそと歩く


心は戻った


想いは砕けた


その背に突き立てた無数の矢


弱さも哀しみも


強さも喜びも


誇りも痛みも


真実も諦めも


勇気も涙も


優しさも虚無も


その心に秘めて                 
ヤツはただ のそのそと歩いてく


鎧を脱ぎ捨てたアルマジロ


もう二度とヤツをケダモノと呼ぶな


ヤツは背に受けた矢の数だけの


大切なモノを持ってる



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