『明日へ』/なごまる
 

『明日へ』


ポケットの中にひとつだけ残った

飴玉のような恋心

空っぽの心にアルコールを入れて

ただひとり月灯りの街を行く

失ったもの

まだ持ってるもの

橋の上から投げ捨てたタバコは

渦にのまれて消えちまった

心のなかに飴玉がひとつ

あの人が幸せならそれでいい

そう思えるほど大人ではないけれど

今はただ

悔しさも切なさも

鍵をかけて心の奥に沈めるんだ

誰からも愛されずに

ヒビわれた心だけ持って

明日へ

心のなかに飴玉はひとつ

ただ前を向いて行こう

月が冷たく笑っても

たとえ夜が明けても

ポケットに隠した飴玉のような想い

それだけあれば

ただ一人の明日へも

顔を上げて行ける





戻る   Point(2)