夏のゆかた/月乃助
 

もう着るものかどうか、わからないけれど
さらさら、木綿の肌に触れる

待ちうける その時の
今 やってきた季節のさかりに
たくさんの声がする
行こうか/行ってきます/行くよ/さあ
いってらっしゃい/気をつけて/ああ

白いゆかたを着て お祭りにいくように
旅たつ 
歴史は いつもあとから追いかけてくるだけ
でも、その先頭を歩く わたしたち

朝顔は、むすめに
赤い芥子はわたしが、夫は無地の白
数えるほどしか 袖を通すこともなかった

― 大本営発表 
 新型爆弾ハ、恐レルニ足ラズ。
 白イ物ヲ身ニマトウコト。火傷ニハ、油ヲ
 ヌルヨウニ。

鳥より
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