百日紅の失踪/A道化
車窓の光速が
わたしたちに注いでは剥離して
ガタンゴトン
一枚残らず後方へと失踪する
朝はいつも同じ方向への目眩だ
通過駅をことごとく踏み外す その
転落音の延々と続く曲線をゆきながら
わたしたちは
何をも見上げまいと 何をも追うまいと
白く静かに視線を保ちながら少しずつ
削り取られ削り取られて後方へ 後方へ
なぜならば 朝には
別れのあいさつがなかったから
どこからどこまでが朝でいつからいつまでがわたしなのか
あなたがいた朝はいつだったか あなたがいたのは朝だったか
どうしても区切りたくなってしまったとき あ
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