よるのうた/たちばなまこと
 
思い描く
ラブソング
想像する
重さ

月夜に蝉の終わりの羽音
打ち上げ花火の余韻
声を殺して泣く
身体感覚とたましいが
握手する

風が
薄いカーテンをふくらませ
暗色のグラデーション
熱を冷ます
推測の域

北のストロボ
雲間がオレンジに割れて
私のなかにも似た
電流を幾たびも流してゆく

領域に
名前が繰り返される
飲み干した水と
抱きしめられてしまえば
次々とつぼみが開く
そのあり方が
愚かではないことを
祈っている
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