「路傍のいのち」/ベンジャミン
 
てはいないと

夜になってから
その場所に行って
本心では、見つけたくもなかった
そのからだを道端で見た
片方の目だけが開いていた

その視線が見つめていたのは
確かに自分であることを
語ることはないけれど

小さく路傍の草と土に埋もれて
同じくらい小さな路傍の、このいのちを

ただ立ち尽くしているのは
そんな、自分という肉の塊であることを

仔猫はじっと見つめていた}


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