好きになってもらうために/くなきみ
僕は彼が嫌いだった
僕はことあるごとに
彼のちょっとした悪口を言いふらしていた
その悪口は町中に広まって
しまいには町中の人間が
彼のことを嫌いになった
その悪口はどんどん酷くなって
僕が最初に言っていた悪口の
姿形を失っているほどだった
そしてとうとう彼は
その悪口に耐え切れなくなって
自殺してしまった
彼が死んだ途端
町中の人間は彼に同情しだした
彼がどれだけ素晴らしい人間だったかを語るようになった
そして悪口を言い出した犯人を探そうと
町中が躍起となった
僕は自分が犯人だと言い出すことなんて
とてもできなかった
確か
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