静かの海/月乃助
 
静かの海
ここはどこまでも静寂な 砂がさらさらと、
乾いた想いを落としていく
初めて出会った日を思い出しては
ナトリウムの大気に
耳をすませる

小さな部屋で聞いた
パステルの紙を走る音
あの頃
未来という言葉が恐くて
満たされていることが、つらかった

この降るほどの星たちの
どれもが願いを背負いながら
生きている
それを一つ、二つと数えては、

36万キロの中空がどうして
こんなにも近くに感じるのは、
テラの残照に目を細めては、見つめる
そこにあるのは、水色に染まる
まっすぐに向かってくる想いのせいかもしれない

正直に伝えたくて
明日がいつも
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