食事/1486 106
 
役割を与えられた人達
演目は幸せな家族
食卓に並べられた偽りや馴れ合いといった不純物を
インスタント味噌汁で一気に飲み込む

母親は給料が少ないと文句を言いながら
昼食はエアロビ仲間と焼肉ランチ
そもそも料理を作るのに愛情なんて最初から必要ない
気付いてからの料理はほとんどレトルト

父親は滅多に食事に参加しない
いないことが自然になっている
たまに帰ってきてはぎこちなく父親ぶるから
返ってくるのは相槌ばかり

子どもは親が思っているよりずっと賢い
それなりの成績とそれなりの評判
母親は気付かない 引き出しに閉まったナイフと
ネットで知り合った友人との犯罪計画

近いうちにこの家族の姿を
朝のニュースで目撃することになるだろう
そして人々は口をそろえてこう言うのさ
信じられない まさかあんなに仲良かった家族が

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