シェドゥムのための習作/有末
 
敬虔さと真摯さでもっていつだってそのように勤めてきたのだ。でもその前に、少しでも君に埋め合わせが出来たら。夢は正しく悪夢になって、不自由に目を瞬いて天井を見る朝が来るのかも、しれない。そんな風にシェドゥムはまた、あと何度見送ることになるか解らない光る背中に言葉を投げた。収集家が大切な作品を慈しんで語りかけるような、努めて優しい感情だけを込めて。

シェドゥムは鏡をではなく、いまや秘密の隠れる場所のない廊下を見つめる。ついに唇は息を吐き、意味を付与された微かな振動がタブローを曇らせた。

              
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