死神博士のお化け屋敷/atsuchan69
 
 なぜなら道徳的なこの社会そのものこそが、真っ向から自然に敵対するもの、獣を収監する牢獄だからだ」
私は恐るおそる銀のフォークに突き刺した目玉を手にしたまま、死神博士の話を黙って聞いた。
「いいかい、我々の肉体は獣だ! しかしここからが肝心なのだがね・・・・プラズマ生命体である我々の本性はこの世界に属さない。ではここにいる私は誰なのか? 本当の私、本来の私の仮初の姿は、ここに偽りの姿を纏ってある・・・・」
すると博士は暫く口をつぐみ、そのあと蒼く腫れあがった深い傷口のように美しい赤毛のメイドに向かって「聖書を――」と言った。
メイドは黙って頷き姿を消すと、まもなく――いったい何を考えている
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