失火/しべ
 
蛾が舞う
びいどろ焼けた肌
今日は木曜
粘性の雨
水あめ

甘い茎を廻る
二十ニ色の蛾
電信柱の骨
涙浮かぶ川ふたつ
中洲の向こう


ひとさらい


手も足も
舌のように蠢く
痺れた指で
泥をほじっては
焼かれ
咲かれ
落涙は煙

遠くでひとりは
震えながら
名も無く
黒く蛾となって

誰かを嫌っては
脅される

戻る   Point(3)