洞窟にかける鍵/吉岡ペペロ
す
みんな宇宙のものまねしてるんだ、ものまねしてるだけなんだ、
もうなん万回も繰り返したヨシミの声をシンゴはまたあたらしくひとつ繰り返した
みんな宇宙のものまねしてるんだ、ものまねしてるだけなんだ、
それは音のないこだまのように洞窟に響いた
上海で北朝鮮にふれている日本人
中国企業の視察もするし偽物ショップでは値切る
彼女たちにチップを渡すことはできなかった
舞台の天井、黄、緑、赤、青の光を明滅させながら回転するミラーボール
中学生のころ女の子に告白なんてできなかった
ヨシミのことすべてがいまこの店につまっているような気がした
ヨシミの宇宙には、ブラン
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