悲観と楽観/A-29
で氏のイメージする「世界共和国」への道程は恐ろしく暗い。カント−フロイトを援用するその見通しは、その「暗さ」ゆえにリアルである。
しかし氏は「だが、悲観的になる必要はない。」という。カントのいう「統整的理念」でダイジョブ、ダイジョブ〜というのだ。
遅ればせながら最近になって萌えアニメの世界的ブームの一端に接した私は、「オタク」と呼ばれるような人たちが世界各国で「敵意の全面的放棄」といえるような夢想を抱いていることを感じた。
氏によれば、「統整的理念」とは「超越論的仮象」であり、「平たくいえば、そのような仮象がなければ、われわれは統合失調症に陥るほかない。」というようなものであると
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