こっぽう/竜門勇気
まんないしもう目も霞んでくるし。でもさすが俺が待ってた彼女だけあって、一人では逝かせないなんて言ってね。
俺を抱きしめたままビルから赤茶けたフェンスを蹴って飛び降りです。
骨法男は黙ってこれが定めだみたいな事をブツブツ言ってるわけですよ。でもね、俺はこんなことのために形意拳を極めようとしたわけじゃない。
彼女を生かすための人生だったわけですよ。だからね、最後の奥義を使うことにしました。
そっと彼女の胸に手を当て、骨法糞野郎に向けてぶっ飛ばしてやりましたよ。手加減はしたものの兜の中の頭蓋骨を割るための技ですからね。
こりゃ今週いっぱいまともにモノ食えないぞ、でも今までの悪口のお返しには丁度良かったかな。
なんて最後に触れた彼女の温かさ、柔らかさを噛みしめながら”僕”は遠ざかる空を見つめていました。
なんの話でしたっけ。
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