夏休みは、/中原 那由多
 
夏の朝は早く
蜩の話し声が聞こえていた

雨上がり
入道雲は悠々行進

忘れ去られて行く毎日
モチベーションは何処へしまったかな?


窓ガラスに映るのは
揺れる二本の電線だった
見飽きた景色を何度も見つめて
聞き飽きないアンビエントと目を閉じる


私の知っている向日葵はもうなかった
蝉は必死に鳴いてはいなくなる
言葉を無くして立ち尽くす
風の吹かない影の中


緑の匂いはまだ深い
足音だけが鳴り響き
重なりあった少年時代

いつか登った坂道は
あの日のものより小さく見えた


2009/08/11


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