東京タワーで彼女が泣いていた事を僕は知らない/虹村 凌
 
くくられたのだろうか?
 東京駅の階段を下りながら、様々な思いが脳内を駆け巡った。それでも、彼女が「決して自分を責めないで。愛されないと知ってて会いに来た自分が馬鹿なだけだから。だから自分を責めないと約束して。」と言っていた事を思い出して、考える事を止めた。約束は、守らなければならない。約束を果たせない事ほど、辛い事は無い
。その約束を果たせているのか不安で仕方無い。彼女は僕が不安がる事すら嫌がるだろうけれど。


 懐中時計、CD、服、サングラス。その夢を証明する物が部屋に散乱する。これは「つながり」なのだろうか?夢を証明する道具なのだろうか?それらを求める事はあっても、再会は望んでい
[次のページ]
戻る   Point(2)