東京タワーで彼女が泣いていた事を僕は知らない/虹村 凌
 
埋もれてしまうかも知れないけれど、僕の少し特殊な位置付けにいる友達の為に、僕の為に、それは果たさなければならない約束なのだ。これで、夢は終わるのだ。悪夢だったか、淫夢だったのか、正夢だったのか、ただの夢だったのかはわからない。夢であった事は事実なのだろう。

 その夢を見せてもらっていたのか、見せていたのか、物語を読み聞かせてもらっていたのか、読み聞かせていたのか、それすらわからなくなってしまった、その日々の終わりに。
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