白鯨*/天野茂典
 
 

  
 杏のさがは悲しい地下鉄
 もぐらのように
 地底に潜っておはようをする
 何層にもエスカレーターを
 乗りついで地獄篇*のアクリルにあう
 蜘蛛の巣のようにはりめぐらされたニューロンの
 繊維質
 ときたま地上に顔をだすこともあるが
 (そんときは鯨のように息するときだ
 広い海洋のバタフライ
 ぴゅっと太い噴水あげて
 ゆうゆうと夏空のかなたに消えてゆく
 残酷なノイズ
 路線はあかりとやみの点滅で
 死んだねえちやんひとりころがってやしねえ
 (スーツ姿もにあうけれど
 葬式は礼服があってはじめてできるもの
 そんなものありはしない
 痴
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