晴れたら金の鈴/照留 セレン
 
人で絶叫マシーンを制覇して、もちろん新アトラクションにも乗った。しっかり満喫して、すっかり疲れて家に帰った。

 ベランダに、てるてる坊主が落ちていた。
 点の目と、にっこり笑った口。
 古シャツの端切れで作った体は、あちこちほつれている。吊す紐は、結び目の近くで切れていた。
 洗濯物は、いつの間にか干してあった。干しっぱなしになっていた。
「てーちゃん」
 私はてるてる坊主を拾い上げた。てるてる坊主のぼろぼろの顔は、何も見ていないようだ。笑顔を向ける相手もなく、ただ笑っているだけのようだ。
「またココア飲みにおいでよ」
 てるてる坊主はくたっと首を垂れた。
 今度出かけたら、金の鈴を買って帰ろう。
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