青い二等辺三角形/光井 新
な、僕の愛する人がこの雌豹だったら、そう強く願いながら、僕はテーブルの上のスプーンを落としました。
ピュンシュンぺェンウァワン……チェンリンストッファブリーズ。
「お客様、大丈夫ですか、新しいスプーンです」
苛立たしいしゃがれた声、小憎らしいつぶれた顔。蛙女が邪魔をする。作戦失敗、こうなったらもう土下座するしかない!
「ごめんなさい!」
「お客様、どうされました?」
「とりあえずごめんなさい!」
罪悪感を圧し殺して脚を見る。良かった、本当に良かった、蛙女は違う。次!
「ごめんなさい!」
「え?」
雌豹も違う。
メスブタも違う。泥棒ネコも違う。苺柄のあの子も違う。フロ
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