研ぎ澄まされた湖のために/錯春
 
石を投げても
光の輪が邪魔だった
それほどまでに
私の研ぎ澄まされた湖

凍りついた透明
そこに蹲っている、もしくは
うつぶせている、あるいは
待っている
私は
私の研ぎ澄まされた湖を
たちどころに溶かす
それが出来る
故に、私の湖は私のもとに



{引用=
(凍っているのは水?)
    ある幼い旅人が言った
    一切の角が無い、まるまちい罪作りな指先が
    蟷螂(カマキリ)の背中を挟んでいた
(よく、ここに来るの?)
    私の答えを待たずして、旅人は言った
    びきびきと空気を戦慄(わなな)かせ
    蟷螂の折り
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