蒸散してゆく六月の月食/within
 
連れ去られてゆく私の腕は
細かく打ち震え
振動し
ひとところに落ち着かない
手を引っ張るのは誰?
月が欠けてゆくにつれ
私の不確かさが増してゆく
共鳴していたものが
隠されてしまったから
もう私はうずくまる
夜が全くの闇になるとき
光るのはこの惑星だけ
太陽もシリウスも
皆、閉じてしまう
地球だけが惑い
落ち着かない
行きたくなければ
行かなくていい
帰りたくなければ
帰らなくていい
私の車輪が
ぬかるみで
空転する
雨の降る日に
傘も差さずに外へ出て
体中のトンネルから
熱を抜いてゆく
私をゆっくりと
冷ましてゆく

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