エセエッセー/光井 新
 
がらに焦りを感じて、脱走を計画すべく、私は童話を書き始めたのだった。
 でも童話を書くようになっても、結局それは牢獄の中で囚人が更にカゴに入れた鳥を飼うという事でしかなかったのだと、中学生になった私は思う。
 神様、神様……
 鳥の鳴き声がうるさくて、囚人は眠れなくなりました。
 マッチなんて擦らなくても「世界」は明るかったのに、暗くなって少女が一人死ぬ。
 鴎の群れがレクイエムを合唱する。小さないかだの上で、私はポケットの中から言葉のない世界を取り出して読みふける。荒波が襲う。
 私はお姫様じゃないし、西野カナちゃんでもなければ、トップモデルにもなれないしカバーガールにもなれないしム
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