窓際/はるな
なやかな体をもっていたし、お互いの目をみて話すこともできた。わたしも彼女も昼休みには、別々の場所でお弁当を食べることもできた。―食べることができた。
わたしたちは明らかに何らかの問題(障害といっていいくらいの)を持っていたけれど、その問題の程度は、誰もがもっているくらいのものにおもえた。16歳の、高校生の、女の子ならだれもがもっている程度の問題。実際にそれはそうだった。でも状況は少しずつ悪くなった。わたしたちの誰もそれに気がつかなかった。16歳は、状況を判断するには、すこし幼すぎた。手放しで誰かに泣きつくには、プライドが育ってしまっていた。
いまになって、そのことがすこしわかる。わかるというのは、状況を理解できる、という意味でだ。そのころの心持ちを、自分のであったはずの心もちを、もうわたしは思い出すことができない。自分がそのように打ちひしがれていたことを。そのことはすでに悲しいことですらない。ただ、なんて遠くへ来てしまったんだろう、と思う。
なんて遠くへ、自分でもそれときづかないうちに。
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