夕立の先/木製金属
期待とは裏腹にベルが鳴る
一日4回の冷やかしのためのベル
発光するライト
送り主に
SOSは伝えない
何もかも美味しくはいただけない
夕立の雲 空を隠しては また
私の声が届かないところ
君の呟き聞き逃さないところ
一人分の椅子で 今日も
膝を抱えて 君を待つ
部屋の奥まで
ノックしてくる雨音
上手く笑うのは胡散臭いから
何も言わずうなずていた
あの時 もっと
上手く泣ければよかったのに
明日がくるなら
また明日がくるなら
そんな期待で 胸を潰した
でも
きっと
新しい色や
新しい声で
世界が包まれていく中で
まだあのグレーのシャツを着た
私たちは
変わってはいけないのだろう
曖昧な距離 不透明な意味
ゴールのないセックス
重ねていくんだろう
そんなことぐらいわかっていた
ベランダに出て 少し濡れた足元
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