日常/非在の虹
わたしは男の帰りを待つ
待つ時間こそわたしを
存在させる
つまり待つことによってわたしは
男への愛情を確認している
しかしそのことを誰にも悟られたくない
そのため日常の動作は速く
人の目にとらえられない
同時にだれにも批判できない事実
の錘がわたしを室内にすわらせる
わたしはいまだ男と平行に寝たことはない
なぜなら
男はいつも直立しているから
このことによって座標軸がつくられ
わたしは絶えまなく水平になれる しかし
関数の変化がわたしを眠らせない
その男のことだが
わたしは顔を知らない
そしてそれが男のすべてなのだが
わたしに待たれることによって
だれにも見えない存在となっている
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