マングローブ・ヨガ/楽恵
 

7日に蛭木の浜に下りていき
ヨガをする。
足の爪先から、踵まで、ゆくりと着地する。
干潮を合図に背中を反らせ、アーチを模る。
オヒルギとメヒルギが
音をひらいて絡み合い
嘆いて赤土を溶かせ、浅い河に注ぎこむ。
くいこみ生まれたて
蛭木の根は、順調に伸びている。
巨大な空洞部分に向かって
地下に染み込み同化する

汐をたっぷり含んだ
発芽。

吸い込めば潮は満ち
吐き出せば遠く退く
環礁は砕けて白く
湿地帯に逆流し、堆積する粗い砂は
滅びた珊瑚の死骸を
太古の泥に被せる
(植生のポーズ)

苦しさで息ができない。それでも浜辺のヨガは続く。
(群生のポーズ)
体勢は三日月。
(密生のポーズ)
椰子の気配は一帯となり
マングローブの組織を形成する。
一艘のカヤックが揺れ
鬱蒼とした河口に飲み込まれる。

夜明けに、海は真っ赤に染まっているだろう。







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