頬骨/蒼木りん
立ち入り禁止の
義母の部屋に入り込んで
おしっこをしたり
供えたお菓子を引っぱり出して
食べ散らかしたり
犬が悪さをするようになった
酒飲みで我が強い
とてもこども染みた人だった
愛されたい欲求が言動に表れる
わたしは甘えた人間は嫌いだから
見ない 聞かない 話さない
義母が死んだのは
義父さんの命日の次の日で
せっかちな義父さんが
三年と半日生かせて
「もういいべ」と
連れて行ったんだと思う
ユリの花の匂いが嫌いだといっていたから
ユリばかり買って来て
活けてあげよう
わたしはとてつもなく
ユリの匂いが好きだ
早くこの世に見切りを付けて
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