喫煙のこと/はるな
 

六年半続いた喫煙の習慣を、いったん中止して、二週間め。やはりというか、さっそく体重は1000グラムふえた。

喫煙は、最初から違和感がなかった。むせて苦しいこともなかったし、匂いに顔しかめることも、喫煙をはじめた自分にとまどうこともなかった。わたしの家族で、喫煙の習慣があるひとは他にいなかったけれど。
横須賀にすむ祖父は愛煙家だった。孫のわたしのまえでは、そう頻繁には吸わなかったけれど。胸ポケットがきちんとした四角にうきあがった祖父の胸。それから、一年に一度会うか会わないかの、母親方の叔父もよくたばこを吸った。彼が吸っていたのは赤い箱のラークで、その叔父と顔をあわせるのは母の実家だったの
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(3)