夏の風/月乃助
四つ角に生まれた風が
光になって踊っていました
六月の紺碧 空の下
オークの木のどの枝たちも みな夏に呼応して
新緑に色づく
私は、これが最後だと思うのに
あなたは、いつも明日を口にする
普通でいることが、一緒にいればこんなにも難しい
青空の隅に消せないまま 光/影が生まれた
雲のわずかなすき間から こぼれるような
うつろいすぎる夏の陽射しが眩しくて 手をかざし、
老人の腕さながら皺だらけの枝下に
夢から覚めた私が立っている
目を閉じても
消すことなどできないのだから
それでも、生きていけるのだと
信じてみたくなる
すべてを押しやり
残ったも
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