授業/桐谷隼斗
 
教室に飽和した言葉
(誰かを汚すために 鋭利な刃を吐く)

「静かにしなさい!」
震えているのは
教室の空気/私の肩

意味がないのは分かっているのに
それでも抵抗するのは虚しいと思ったから
私と同じくらい 悲しみが染み込んだ曇り空に
毒づいてみる
顔を真っ赤にして怒る先生と
狡猾な表情をまざまざと見せつける生徒の間には
深い 闇を孕む深淵

長針はいつもより緩慢で
悲しみは蜜のように(とろり)と
荒野を濡らす
それが私の涙であると
気付いたときにはもう遅かった

机に埋めた頭
腕の中の暗闇が切り裂かれ
朝の気配がした

戻る   Point(3)