静寂/
蒲生万寿
誰とも話したくない
一人にしてくれないか
疲れている
ひどく物憂い
沈む夕陽を眺め
深い紫の空に思いを馳せたい
皆、何処かへ行ってくれないか
言葉を費やすのが嫌になった
話をしている間にも
夕陽は移り変わる
とても素早く次の情景を描く
視線を外したくない
瞬間はとても短い
その時を見詰める為に
ここでこうしている
誰とも話したくない
言葉ではあの夕陽には届かないのだから
見ている事しか出来ないのだから
戻る
編
削
Point
(0)