静寂/蒲生万寿
 
誰とも話したくない

一人にしてくれないか

疲れている

ひどく物憂い

沈む夕陽を眺め

深い紫の空に思いを馳せたい

皆、何処かへ行ってくれないか

言葉を費やすのが嫌になった

話をしている間にも

夕陽は移り変わる

とても素早く次の情景を描く

視線を外したくない

瞬間はとても短い

その時を見詰める為に

ここでこうしている

誰とも話したくない

言葉ではあの夕陽には届かないのだから

見ている事しか出来ないのだから

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