猛スピードで/桐谷隼斗
 
「さようなら」黒板に大きく書いたなら
次の日私は小さな記事に


涙枯れ猛スピードでペダル漕ぐ
籠にひらりとはかない恋が


幻を見ていたのよと母が言う
線香の煙青空に消えて


サボリたい授業のことを考える
窓に映るからっぽの僕が


蟹の肌撫でて優しく弔った
鍋風呂は少し熱すぎたかも


放課後の世界にあふれた沈黙を
深呼吸して街に吐きだす
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