川に落ちる。/ブライアン
生まれてくるのだろう。それは、一瞬の夢。
濡れた靴を地面に放る。宙に浮いた方の足を、靴の中に入れる。冷たかった。奥へ足を詰め込むと、泥の感触が伝わった。水のくちゃくちゃ、という音がする。歩く。くちゃくちゃ。歩く。くちゃくちゃ。そうやって川辺から離れ、田の広がるところへ向かった。川辺沿いにあった木々の陰から抜けると、太陽の光を感じた。曇りの空の太陽の光。遮断された曖昧に広がる光。広がる田を突っ切っていく。アスファルトの道に出る。山に続く道と直角にぶつかる交差点があった。その角には、ブルトーザーが停められていた。ブルトーザーの鉄の雰囲気が、アスファルトに似合っていた。そのブルトーザーがどこで使われているかは分からない。ただ、かつてはこの道を耕し、アスファルトに変えたことは確かだ。道を車が走っていく。エンジン音が道の上に響く。消えていく。鉄の塊が、路肩に停められている。アスファルトを歩く。濡れた靴底が、アスファルトの上にくっきりと跡を残していた。
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