川に落ちる。/ブライアン
を川へ入れるためだけにハエは、川辺を飛んでいたのかもしれない。
ハエが飛んでいってしまうと、冷静になった。汚れた靴を脱ぎながら、ため息をついた。靴の紐には泥がついていた。白かった紐が、黒く汚れている。鼻元に近づけると、槌と川の匂いがした。湿った匂いだった。靴を持った手を宙に上げ、バランスをとりながら、片足で立ち上がる。汚れた靴を川の水で洗おうと、片足で跳ねながら移動した。地面にある小さな石や凹凸。普段は気がつかないものが、足の裏に敏感に伝わる。
小さな石を踏んだ。よろめく。近くの木の幹につかまる。小さな石。土の上に減り込んでいた。時として、人を転ばそうとする小さな石。小さな石は生きて
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