独白、あたし/
百瀬朝子
それはネオン街の影
砂に犯された風が吹きつく夜だった
あたしはナイフを握っている
突き立てることも
振りかざすことも出来ず
光る先は柔らかい皮肉
自転車のサドルに砂が積もる
星の粒子がこぼれたか
汗が涙にかわる頃
肛門がすーすーする
ねえ、すこしあたし
さみしいみたい
ゲボしそう
ひとりぼっちの孤独は
空虚で満たした浴槽だ
浸かっていればいい
しみこんでくればいい
朝になればいい
朝になればあたし
もとどおりに息が出来る
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