痛みの歴史/桐谷隼斗
湖に溺れている豚
必死な形相
肺にあふれる涙
私は歩けないから祈った
永遠に沈黙が続くなら
壁に骨をぶつけ
音楽を差し上げます
青空を
深々と突き刺すスズメバチの群れ
赤く腫れた皮膜
言葉でいっぱいの耳たぶ
飛行船に乗って
汚れた言葉をばらまいて行きたい
街の匂いを嗅ぎながら
ゆっくりつぶやいた
「私の居場所はどこですか」
左腕に刻まれた歴史
が
すべてを物語る
今日も 燃えていく
はかなく 散っていく
少女の季節
黒い蜜が樹皮を伝う
丘の上に集まる人々
この人たちもまた
裏切りの物語の執筆者であり
読者なのだろう
みんなが忘れても
私は忘れないよ
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