世界は勝手にできあがっている/within
 
重い雨が降っている
重い水が降っている

土くれになるはずの肉塊を
池に沈めれば
浮かんでくるのは
感覚のない 時の澱

「君ばかりが悩む必要はないんだよ」

背負い込んでいるのは、無数の冤罪
ただ日々の生理に任せていただけなのに
無数の痕跡が残っていた

毛布にくるまっていても
法則は放してくれない

糸を手繰っても
もう何も手にすることができない
極大を迎えたエントロピー
哀しき終末を告白するために教会に向かう
神父か住職か父か母か墓標か

何でもいい
売るものは身体だけ
粉みじんにされた器だけが残る

何度でも巡ってくる春夏秋冬に馴れきっ
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