カバとキリカ/松本 涼
その日ジリはキリカの部屋の近所の居酒屋で、キリカと一緒に夕食がてらビールを飲んでいた。
近くに住む常連客が集まる、気取りの無い賑やかな店だ。
「なあ、キリカ一緒に住まないか?」
アルコールの勢いもあって、ジリは唐突にキリカに切り出した。
「なんで?」
そんなジリの質問にもキリカはチューハイを傾けながら、表情も変えずに問い返した。
「あたしカバより大きなイビキをかくのよ。」
「・・カバってイビキかくのか?」
「そりゃあ、あんなに大きいんだもの。イビキだってかくでしょ。」
ジリはそういう問題じゃないと思ったが、キリカはお構い無しに続けた。
「それにね、あたし夜
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