ジリとキリカ/松本 涼
 
。」と平然と言った。
「水とかお湯とかの問題じゃないだろ…」
 ため息混じりにジリがそう言うと、キリカは「何でって、決まってるじゃない。あんたのその顔が見たかったからよ。」とあたりまえのように言ってニコリと笑った。

「おかげですっかり冷えたわよ。ジリも入る?」
 楽しそうにキリカは言う。ジリも諦め「…そうだな…驚いてすっかり汗も引いたけど、入るか。」とTシャツを脱ぎ始めた。
 するとキリカが「あー脱いじゃダメよ。そのまま、そのまま。」と言った。
 ジリは驚いて「なんでだよ、オレはいいだろ。」と言った。
「たまにはいいじゃない、服着たまま入るとなんか自由よー。」
 ワケの分からないキリカの言葉にジリは言い返す気力も失せ、仕方なくそのまま水風呂に浸かるのであった。

「ね、自由でしょ?」
「…ああ、そうかもな…」

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