髪のこと/はるな
 

乳房まである、黒い髪の毛をもっている。
それはときどき褒められるけれども、なぜだろう、なんだか嘘をついているような心持になる。
爪のかたちを褒められたり、顔の造形や、筋肉のぐあいを良い風に言われるたびに、うしろぐらいきもちになる。
わたしは、みなりや、態度を、賞賛されるように整えている。ある場合には、特定の人々に向けて、またある場合には、より多数に受け入れられるように。
だから賞賛されてしかるべきなのだ。わたしは今のところ若く、傲慢で、資産はないが時間はある。同時にいつも何かしら後ろめたく、自信がない。
そのためにわたしは整える。肌や髪を磨くことは苦しくない。どこへ行ったらほんとうの
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