軌跡/ロリータ℃。
カチャカチャと、キーボードの上で踊る美しい指先を溢れんばかりの欲望で見つめていた20歳の冬。私は長い茶髪を巻きヴィトンのカバンを持ち、つけ睫毛を武器にしていた。
その型にはまった派手さは、作られたお人形のようで、その武装に私はいつも安堵していた。
華やかで、けして周りから浮かない姿。つまりはそういう世界にいた。
だから彼は、私の周りの中では異質だった。
読書好きで、物書きを目指していた。ぎらぎらした瞳に、柔らかな低い声。私はそれが大好きだった。
「誰が手を休めていいって言ったのよ」
「…すみません」
「何もできない役立たず。続けなさい」
「もう痛くて
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