話しかける五月/小池房枝
う
胸の火の用心を責めて落ちてくるマッチのようなサクランボの森
おうし座が胸に太陽 腰帯に月を飾ってオリオンに挑む
アルビレオ二つ並べておく石をミネラルフェアで探してみようか
薔薇のうてな手を伸べてしまう後れ毛をかき上げてでもやれるかのように
鞠のようなつぼみまた少し膨らませ夏つばき夏を孕んでひそやか
濃い色の紫陽花に添えて飾るならオパールよりも紫水晶
ささやきに耳寄せるように花の香を確かめる薔薇の声を聞くように
薔薇園をそっとケント紙に写し取ってエドガーとアラン二人立たせたい
オールドアースそんな名前の薔薇がいつか生み出されな
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(16)