カニミソ2/番田 
 
たし得意先の自動車整備工場の名前もよく知っていた。あれからもう3年も経っているし、顔の知れている私がドアを押してやってきたとしてもすでにフリーターの私に話すことは何一つとしてありえなかった。私は、怒りをこめてしゃべり出す。
「俺はなぁ、この辺りじゃ有名な、営業マンだったんだよ。しかしどうだい?この不況のあおりをうけ、今じゃダイソーのピッキング係とは。時給800円なんかで、よく暮らしているものだぜ。もちろん住民税も国民年金も滞納中。この先どうなるかなんて、君にだって知れたものじゃないだろう!」
太陽も、落っこちた。


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