うたた寝/小川麻由美
 
今まで私は何をしていたんだろう
と思った瞬間に少しだけほんの少しだけ
眠っていたことに気付く
それにしてもこの疲労感はどこからくるのか

ふと横を見ると着物の小道具の山がある
着物と長襦袢が心配になったが
ちゃんと衣紋掛けにかけてあった
着物を着ての食事会だったと思い出す

始動した私の体は小物を鞄に収め
着物と長襦袢をたたみ
一息つく
深く一つ溜息

あの辻が花の着物を着たい
ただそれだけの動機で桐の箪笥を開け
さっき収めた小道具を取り出し
姿見に向かう
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