アフターレイン/中原 那由多
 
眠らない窓の瞼を無理矢理閉じてから
物干し竿に明日の天気を聞いてみる

コンビニで買ったビニール傘は
骨が一本折れてしまい
それでも黙って使い続けるせいなのか

答えを教えてはくれなかった


買わない宝くじは当たらない
その前に買い方が分からないと愚痴ってみても

大きくなるのは夢ばかり

あるだけの小銭を握り締めて
自転車で走り去ったこの道は、アスファルトには
まだ黒い染みが残っている


話の内容はどうでもいい
秘密を隠すなら、箱の中ではなくて
その箱の模様に紛れ込ませる
裏返った声のお礼はもう
微笑みだけでは隠せなくて
初めからそうだったように振る舞った

あくびを合図に降り始めたにわか雨
壊れた傘でもないよりまだマシ


住宅街を抜ける近道は
かなり使いこなせるようになってきた

サイレン、二人乗り、駐車禁止

自分には関係ないはずなのに
他人事ではなくなってきている

夜更かし、罵声、新聞配達

この街の朝、光には
いつでも雨がよく似合う


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